面皰|林花梨
昨秋、前髪を切りました。
正確に言えば、前髪をつくりました。
今までは前髪を後ろの髪と同じ長さまで伸ばしていて、その暮らしをそこそこ長く続けていたから、まあ相当な勇気を要して前髪をつくりました。
前髪を切って、可愛くなったと言われることもあったし、それを後悔をしているわけではないのだけれど、ある弊害が生じました。
にきび。
にきびができました。
はえぎわに、にきび。
今まで空気に晒していた皮膚が髪によって覆われて、多分不快だったんだろうな、と思います。
中高のとき、同級生に思春期のにきびができる頃にも、一度もにきびができない肌が自慢だったのに。
親は遅い思春期が来たのだと言います。まあ、確かにな、人より精神年齢幼いしな。
でも私は前髪のせいだと思うのです。
皮膚科に行ったのだけど、まだ治りません。
というのも、皮膚科の先生の指示に正しく従っていないというか、従えていません。
先生は「にきびは他人に見せなきゃ治らないよ」といいます。
つまり、はえぎわのにきびたちを前髪から解放して、空気に晒してやれと。
ただ、それは同時にきびたちを他人に晒すことを意味します。
まあ、にきびを他人に見せるくらいなんてことないんだけどさあ。できるんだけどさあ。できるよ、うん、誰もわたしのにきびなんてみてないし、気にしてないし。
よく言いますよね。他人は自分がおもっているほど自分のことをみていない。
そんなこと、頭の中じゃわかっています。誰も私なんかみていない。誰も私のにきびなんかみていない。
きっとにきびを見たくらいで私のことを嫌いになる人は、私のこと元から嫌いなんだろうから大丈夫、とか、正当化してみたりするけれど。
でも、やっぱり、他人が私のどこを見て、どう判断するかなんてわからないし、怖いのです。
他人の目にはどのように私は映るのだろう、他人の目にはどのように私のにきびが映るのだろう。
そんなどうでもいい、誰かにとってはどうでもいい。でも、私にとってはどうでもよくない、ちっぽけなことを永遠考え続け、鏡に映るにきびとにらめっこして、まだにきびを晒すに至ったのは2回です。
早く治したいなあ。
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